研究概要 |
1)配列データの整備 MBGDの新機能として,利用者のゲノムを登録し,公表済みゲノムと組み合わせて解析を行う機能My MBGDを作成して公開した。また,ゲノム上の繰り返し構造とゲノム多型との関連を詳細に調べるのに適した近縁ゲノム比較ツールCGATを公開した。現在,MBGDの機能を受け継ぎつつ,入れ子型オーソログ表や,大規模な系統パターンの全体像の表示などに対応した新たなワークベンチRECOGを開発している。 2)生物学データの整備と比較ゲノム解析 各種間が進化的に近縁なEnterobacteriaceaeおよびLactobacillaleに焦点を絞り,オーソログ遺伝子の進化速度が進化の過程でどのように変化してきたのかを明らかにした。EnterobacteriaceaeおよびLactobacillaleのどちらにおいても16S rRNA遺伝子の相同性が増加すれば,置換数が減少するという比例関係が得られた。また,これらのグループにおいて過去に少なくとも1億年前と4〜5億年前に進化速度が急激に変化する期間が存在したことを明らかにした。 3)情報学的ツールの整備 Fisherの基準をはじめとするクラス分離度を測る複数の基準がカーネル化できることを示した。実験では,Fisherの基準がカーネル部分空間法におけるカーネルパラメータの選択において有効であること,および,遺伝子群の選択基準として用いた場合,遺伝子ランキングや従来の考え方(識別は特徴空間において行うが,遺伝子群の選択はもとの空間において行う手法)と比べ,より高い識別性能をもたらす遺伝子群を同定できることを示した。 4)新規微生物分野の情報収集のための基盤整備 菌叢に生育する微生物を検出するため,約4,000種の基準株の16S rDNA配列を対象として,数多くの微生物を検出するできるDNAチップを作製した。これまでに,1bpのミスマッチまでハイブリダイズすること,そして,プローブ配列上の位置で検出感度が異なることが分かった。また,検出感度が弱いという問題が生じたため,ハイプリする際の蛍光試薬やバッファーの検討をしたところ,検出感度を上げることができた。
|