研究概要 |
MBGDのサーバ構築機能をローカルインストールして独自データを解析できるようにしたものを作成し、専用の解析インターフェイスを持つ比較ゲノムワークベンチRECOGの一部として公開した。また、「ゲノムコア構造アライメント」手法(CoreAligner)を開発した。バチルス科と腸内細菌科のゲノムデータからコア構造を構築し、コア遺伝子群は必須遺伝子をはじめとする重要な遺伝子の多くを含んでおり、また非コア遺伝子と比べると垂直的に伝搬してきた割合が大きいことを示唆する結果を得た。 新型シークエンサーを用いた16S rRNAによる群集構造解析に向けたソフトウェア開発ならびにデータベース整備を行った。ヒト常在細菌の中で、Gut(大腸)、Skin(皮膚)、Lung(肺)、Oral(口腔)、Vagina(膣)の5部位に生息する細菌の16S rRNA遺伝子配列、計53, 750本をGenBankから抽出し、菌種組成や配列相同性により比較し、各フローラにおける細菌群集の特徴を抽出した。また、取得したヒト常在細菌の16S rRNA遺伝子配列情報をデータベース化するとともに、群集構造を分子系統的に容易に理解するための可視化ソフトウェア、ヒト常在細菌の配列&メタ情報を検索できるwebアプリケーションも作成した。 黄色ブドウ球菌の176の臨床分離株における性質(病状、部位、感染場所など)を特徴付ける遺伝子群を明らかにするため、クラス識別解析を行った。アレイCGH(Comparative Genomic Hybridization)実験に基づき、2つの病状間で発現が異なる遺伝子をクラス識別し, それぞれの病状に関連が深いと思われる遺伝子群を抽出した。 微生物叢解析用マイクロアレイのクロスハイブリを解消する実験条件の検討を行い、増幅断片に対するフラグメンテーションをすることが効果的であることが分かった。一方、幾つかの海水土壌に対してマイクロアレイを適用し、各サンプルにのみ発光が見られるプローブが検出でき、微生物叢の違いが観測できる可能性を示した。
|