研究概要 |
複数種のゲノム配列から正確にシンテニーブロックを同定する2つの新しい方法を開発した.新しい手法により信頼性の高いシンテニー領域を同定することが可能であるか検証するために,この手法をバクテリアゲノムに適用して考察を行った.1つの方法は,ゲノム距離(再編成に基づく距離)と分子進化距離の無矛盾性から妥当なパラメータ値を求める方法である.もう一つの方法は,機能アノテーション情報を用いてパラメータ値を決定する方法である.それぞれの手法に対して,酵母,マイコバクテリアにおける複数種のゲノムを用いて計算機解析実験を行った.この研究結果は,バイオインフォマティクスの国際会議(BIOINFO2005)において発表を行う. 一方,比較ゲノムの手法を用いて非コードRNA領域を探索・発見するアルゴリズムの開発も行った.一般に,配列比較を行うためのアライメントの精度を向上させるためには,精度の高いアライメントアルゴリズムの設計と信頼度の高いスコア行列の計算が必要とされる.とくに,RNA配列の2次構造を考慮した構造的アライメントにおいては,塩基間のスコアだけでなく,塩基の相補的ペア間のスコアを必要とするという従来のアライメントにはない特徴がある.今までは,非常にアドホックなスコア行列を用いていたが,この問題を解決するために,条件付き確率場を用いて信頼度の非常に高いスコア行列を計算する方法を開発した.そして,すでに構造的アライメントが行われているRNA配列のデータベースから訓練データを取得して,本手法を適用することにより既存の提案されているどのスコア行列よりも信頼度の高いスコア行列を計算することに成功した.これらの研究成果は,Bioinformaticsの国際学術誌に発表した.
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