研究概要 |
・比較ゲノム解析による生物群特異的遺伝子調節領域の解析:ヒト・マウス・ラットゲノムで200塩基以上が同一配列となっている極保存配列のうち、エクソン上にマップされていない256種類について、それと順系相同の塩基配列を、クジラ、アザラシ、オットセイ、ゾウ、ジュゴン、コウモリの6種類の哺乳類についてPCR直接配列決定法により決定した。これら新規に得た配列とゲノムデータベースにデータが存在する哺乳類をあわせて比較し,系統樹を作成した。樹の各枝における進化速度を推定し、哺乳類全体で進化的に高度に保存されていることを確認した。しかし、それぞれの系統で独自の変化を蓄積しており、特定の極保存配列が特定の系統でのみ進化速度が上昇していることがわかった。 ・ヒト特異的偽遺伝子の解析:Vertebrate Genome Annotation(VEGA) databaseよりunprocessed pseudogeneを784個抽出し、その中から、遺伝子重複のないヒト特異的偽遺伝子の候補遺伝子を14遺伝子見いだした。またそのほかに、文献等から9個の偽遺伝子を同定した。平成19年度以降はこれらの個々の遺伝子について機能や偽遺伝子化の時期を明らかにしていく。 ・トランスジェニックマウスを用いた遺伝子発現制御領域の進化解析:哺乳類の異なる目や他の脊椎動物のゲノム配列の比較から,パラホックス遺伝子近傍の非コード領域に,全脊椎動物で進化的に高度に保存された領域を抽出した。これらの領域を含むレポーター遺伝子ベクターを有するトランスジェニックマウスを作成し、現在その機能を解析中である。
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