研究概要 |
1.コンソミック系統の表現型データの収集 遺伝的背景となっているB6系統と染色体供与系統であるMSM/Ms系統、並びに繁殖・維持が困難な系統を除いたコンソミック28系統に関して、体系的な表現型解析を行い、系統毎の表現型データを収集・解析した。以上の包括的な表現型収集により、量的形質遺伝子座として、少なくとも雄で244座位、雌で218座位に昇る多数のQTLを検出した。 2.表現型責任遺伝子の探索 B6-Chr3^<MSM>系統は有意に脂肪蓄積に抵抗性を示すことが判明した。さらに、加齢、摂餌条件による肥満傾向に関連した表現型スクリーニングでは、B6-Chr13T^<MSM>系統が高脂肪食に依存した顕著な肥満形質を呈することが明らかになった。コンソミック系統の中でも顕著な不安様行動の亢進を示す系統、B6-Chr17MSMについて、17番染色体領域を14のブロックに分けたコンジェニック系統を作成した。これにより、不安様行動の指標である危険評価行動の増加に関わる染色体領域を6.5Mbの領域に絞り込むことに成功した。 3、MSM/Ms系統のSNP情報の収集 基盤ゲノム支援班と連携して解析した結果、系統ゲノムのWGS解読配列のB6系統の非リピート領域に対するカバー率は、当初の目的を超える80%に達した。得られたデータに関して、無作為に抽出した200か所以上の染色体領域のバリデーションを行い、本プロジェクトによるWGSが非常に高い品質を保持していることを確認した。80%のゲノム領域について両系統の塩基配列を比較して、1,300万種以上の候補SNPsを検出した。また、アミノ酸置換を起こすSNPを25,000種以上、遺伝子発現に関与する調節領域に存在するSNPを10万種近く同定した。これらの情報をデータベース化して公開した。
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