以下の研究成果があった。 1. コンソミック系統の表現型解析 (1) 基本形質と糖・脂質代謝関連表現型データの収集 コンソミック全系統の包括的な表現型収集により、多因子で制御される量的表現形質を支配する遺伝子群を遺伝的に分離して個々の遺伝子座に分けて解析できることが明らかとなっている。このシステムを利用して脂肪蓄積をコントロールする複数の遺伝子がマップされる染色体を特定した。 (2) 行動学的パラメータの表現型スクリーニング 自発活動性や不安様行動に関して顕著な効果を有する染色体を明らかにし、国際誌に発表した。更に多数のサブコンソミック系統の解析から自発活動に関わる遺伝子座及び不安関連行動に関わる遺伝子座をそれぞれ6番と17番染色体上の狭い領域に特定し候補遺伝子の発現解析を進めた。脳脊髄液の圧力調節異常により生じる水頭症の原因遺伝子座の一つをゲノムワイドにマッピングして国際誌に発表した。 2. 表現型原因遺伝子の同定 MSM/Ms系統の3番染色体上に脂肪蓄積抑制遺伝子、13番染色体遠位に脂肪蓄積促進遺伝子、17番染色体領域に不安様行動亢進関連遺伝子が存在することを明らかにした。候補となる染色体領域が狭められたものに関しては、BAC DNAの遺伝子導入による表現型再現実験を開始した。 3. MSM/Ms系統のSNP情報の収集とデータベースの更新 基盤ゲノム支援班との連携により構築したNIG Mouse Genome Databaseに、公共のSNPデータを利用して解析したハプロタイプブロック情報などの新規データを追加した。 4. 表現型データベースの構築と公開 本研究の成果であるマウス亜種間コンソミック系統の表現型データベース[NIG Mouse Phenotype Database]を情報支援班の支援により構築して公開した。
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