研究課題/領域番号 |
17019001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
五味 勝也 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60302197)
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研究分担者 |
阿部 敬悦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50312624)
小林 哲夫 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20170334)
北本 勝ひこ 東京大学, 大学院・農学生命研究科, 教授 (20272437)
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キーワード | コウジカビ / 転写因子 / 情報伝達 / タンパク質分泌 / ヒスチジンキナーゼ / MAPキナーゼ / 酵素生産 / 異種遺伝子発現 |
研究概要 |
(1)xlnRの高生産株と破壊株のアレイ解析により制御下遺伝子75種を同定し、その内32種はグリコシルハイドロラーゼで、キシラン分解酵素14種、セルロース分解酵素9種、キシログルカン分解酵素3種、基質未知6種に大別された。XlnRとAraRアレイ解析から選抜した候補遺伝子の産物を大腸菌で生産させ、基質特異性の決定を通してキシロース及びアラビノース代謝経路の未知遺伝子を同定した。farA破壊株は生分解性プラスチックのPBSAの分解能を示さず、クチナーゼCutL1の生産性がほとんど失われていた。farAはcutL1だけでなくリパーゼMdlBやハイドロフォビンHsbAの遺伝子発現も制御していることが示唆された。 (2)A.nidulansのsskA,hogA,atfA(bZIP型転写因子)破壊株の浸透圧感受性・農薬感受性の比較やアレイ解析から、浸透圧応答はNikA→YpdA→SskA→PbsB→HogA→AtfAと直線的応答であることが明らかとなった。麹菌においてAtfAとそのホモログAtfBの破壊株を作製したところ、ともに分生子が酸化ストレス及び熱ストレスに対して高感受性を示した。特にatfA破壊株では分生子の発芽率の顕著な低下が認められた。atfA破壊株では発芽過程におけるグリセロールの蓄積が起こらず、これが発芽率の低下につながった一因と考えられた。アレイ解析により、AtfBの制御下遺伝子はほとんどAtfAの制御下にある一方で、AtfAはそれ以外にも多くの遺伝子の発現を制御していることが明らかとなった。 (3)麹菌のESTとゲノム配列を利用して、poly(A)付加領域のin silico解析を行うことにより、mRNAの転写終結に関わるシグナル配列を予測した。麹菌のpoly(A)シグナル配列は酵母よりも植物に類似しており、ゲノムから探索された転写終結マシナリーを構成する因子群も植物と近いものと考えられた。酵母のnonstop mRNA分解に関与するSki7pに相当する遺伝子は動植物と同様麹菌ゲノムには存在しなかったが、RNA品質管理機構で重要なエキソソーム構成因子のうち、Rrp41pとCls4pのオーソログは酵母と同じように麹菌でも必須であることが示された。
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