研究概要 |
以下の検討をおこなった. (1)ゲノム・メディカルリサーチコーディネータ(GMRC)制度の検討 日本医学会所属の学会から,研究上,ヒト試料を使う可能性のある学会を抽出して,参加を呼びかけた.その結果,制度設計に参加する10学会と,情報提供などでの協力で参加する16学会が関与することになった.平成18年12月,第1回GMRC制度委員会を開催し,制度実現へ向けて話し合いを進めている. (2)家系例収集システムの検討 脳ドック学会会員の施設に脳動脈瘤の家系例収集に関して協力要請をおこなった.各施設倫理委員会での承認後,家族例の報告と主治医から家族への連絡が行われた.家族の許可を得た例に対して,GMRCが直接,連絡し,訪問の日程調整を行った.以上の手順で,青森県,栃木県,大阪府,四国などへのGMRC派遣をおこなった.これまで収集した試料数は,正常対照(脳ドックで脳動脈瘤がなかった)450例程度,脳動脈瘤症例(孤発例)230名程度,同胞対10組程度,親子例,同胞発症例の片方などを併せ,20例ほどであった.また,2-3世代に渡って発症している家系は合計5家系である.一方,研究紹介・参加呼びかけのウェッブページ関連で1家系例の研究参加を得た. (3)全国的稀少疾患収集システムの検討 現在,14施設から収集実績があり,収集システムは問題なく稼働している.全ゲノムを対象とした高精度ゲノムアレイとは別に,既知の隣接遺伝子症候群,各染色体のテロメア部分をカバーするGenome Disorder Array(GDA)を作成した.GDA解析を全症例でおこない,全ゲノムアレイ解析は,可能性の高い症例から実施している.これまでに200例程度の症例をGDAで解析し,既知の疾患8例,サブテロメア部分の異常が20例以上検出できた.10%程度の検出率は,欧米の同様の試みでもほぼ同程度であり,検出力が良好であることが明らかとなった.
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