研究概要 |
本研究は,大規模ゲノム解析に基づき、遺伝性及び孤発性神経疾患の病因遺伝子及び病態機序の解明を進め,疾患の予防や治療に向けて結び付けていくことを目的としている.単一遺伝子,多遺伝子疾患の幅広いスペクトルを対象として研究を進めた.孤発性疾患である多系統萎縮症(MSA)について、約55万個のSNP(Illumina社HumanHap 550K Genotyping BeadChip)による一次スクリーニン,さらに異なるデータセットのコントロール集団のscreeningを行い,最終的に有意差の認められる疾患感受性遺伝子のlocusを同定した.家族性多系統萎縮症については,既に開発したハイスループット連鎖解析システムを用いた連鎖解析により候補遺伝子領域を同定した.次世代シーケンサーを用いた全ゲノムのresequencingを実施し,候補領域上のvariationを多数見出した.これらのvariationについて検討を行い,病因遺伝子の同定を進めている.cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy(CARASIL)にいては,HTAR1が病院遺伝子であること,TGFβのシグナル伝達系の抑制異常が病態に関与することを明らかにした.家族性痙性対麻痺について,網羅的な遺伝子解析システムに基づく遺伝子診断アルゴリズムを開発した.
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