研究概要 |
現在の豊富なゲノム情報と資源のもとで、ヒト疾患のゲノム一次構造のhigh-throughputな検出ツールとして重要となる高精度・高感度の各種ゲノムアレイの開発研究と、これらを用いたヒト遺伝疾患のゲノム一次構造解析などを推進し、以下の結果を得た。 (1)ゲノムアレイ作製と解析システムの整備: 既に開発積みのアレイの継続的な作製およびViewer(解析用ソフト)のゲノムデータベースに連動した更新と運用を行うと共に、新規copy-number variation (CNV)の情報収集用アレイ(MCG Genome Variation Array, ver.1)とその解析結果を可視化して表示するViewer作製を行った。 (2)ゲノムアレイを用いたヒト疾患ゲノム一次構造異常解析: 本態不明の様々な疾患の病因・病態に関与する遺伝子同定のため、先天性多発奇形(MCA)/精神発達遅滞(MR)を伴う本態不明の遺伝疾患を中心に全国18施設からなる臨床遺伝コンソーシアム内で検体(DNAおよびEBVで不死化したリンパ球)の重点的収集を図りバンキングを行うと共に、「MCG Genome Disorder Array(一次解析)とMCG Whole Genome Array-4500(二次解析)を併用してコピー数異常の検出を行なった。既に300検体を越える検体を収集し、アレイ解析の結果はすみやかに臨床の場にフィードバックした。異常を検出した症例を対象に、(1)共通の領域にコピー数異常を認めないが表現型に共通する所見を持つ症例に関し、高密度オリゴアレイによる微細共通異常領域の探索や候補遺伝子の点突然変異解析を行い、(2)複数の独立した症例で共通の領域にコピー数異常を認めたものを新規微細欠失症候群と考え、臨床情報の照合、類似症例の収集を進め、疾患原因・関連遺伝子の同定作業を行った(Hayashi et al,2007;Hayashi et al,2007;Honda et al,2007)。さらに、収集された症例について、表現型などの情報に関してCGHアレイ検索症例臨床情報データベースへの登録作業を進めた。
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