研究課題
難培養性の常在ならびに病原微生物類の多様性と系統推定のための、既知の全ゲノム配列を対象にしたSOMの作成。広範囲の病原微生物類ならびに常在微生物を対象として考えているので原核生物にとどまらず、カビや原虫等の下等真核生物に加えて高等動植物、オルガネラやウイルスやプラスミド等の大量な既知配列を対象にした大規模SOMの作成を行なった。現時点で10kb以上の断片配列が存在する約1500種の原核生物に加えて、約1100種類のウイルス、配列解析の進んでいる約50種類の真核生物、約650種類のミトコンドリア、約50種類の葉緑体の塩基配列の全体を、地球シミュレータを用いて一括して解析した。真核生物と原核生物については96%の高精度で分離されている。オルガネラとウイルス相互や、これらと核ゲノムとの分離も80%レベルと高い。1500の既知原核生物に関して、25の系統群への分離の度合いを調べると、85%レベルで正しい系統群を反映した領域に分離(自己組織化)していた。このSOM上へ、難培養性の混合ゲノム試料由来の断片配列をマップすることで、どの生物系統に属する配列類がどのような量比で混在していたのかを推定できる。従来の系統推定法とは異なって、オルソロガスな配列セットやそれらとの配列アラインメントが不必要である。従来からの研究の進んでいない生物種に由来する、新規性の高い遺伝子配列類にも適用が可能である。Venterらが報告している、Sargasso海由来の約100万本の断片配列をマップしたところ、86%が原核生物、8%が真核生物、1%がミトコンドリア,1.5%が葉緑体,3.5%がウィルスの領域へ帰属した。原核生物に帰属した配列のうち75%は新規性の高いゲノム由来の配列と推定され、残りの配列ついては、96の属へ帰属できている(DNA Res.,2006)。
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