研究概要 |
1.(1)ゲノム悉皆解析法により新規の遺伝子ファミリーYPELを同定した。YPELファミリーは広範な真核生物に存在するため、生命維持に重要な働きを持つことが推測された。また、同ファミリーのタンパク質は、中心体や紡錘糸に局在し、細胞分裂に関連する機能を担うことが推定できた。(2)緑内障の候補ゲノム領域のうち、7q35-q36上のGLC1F領域4Mbを対象としてゲノム悉皆解析法を遂行した。その結果、何らかの転写物が高い相同性を示した遺伝子または推定遺伝子73個を確認した。このうち眼で発現する遺伝子は47個であった。73個のうち3個は非全長cDNAクローンしか存在しないため、現在、実験によりそれらの遺伝子の全長cDNAの単離、同定を進めている。 2.(1)メダカの飼育システムの導入を完了し、CAB株の飼育と卵、胚、稚魚、成魚の材料蓄積を開始した。(2)前記材料を用いて発生段階別cDNAライブラリーを作製している。(3)次のメダカ遺伝子及びcDNAを単離している。◆猫目症候群原因遺伝子領域に存在する未知の眼形態形成遺伝子群のメダカ相同遺伝子◆眼の発生、形成関連の遺伝子(pax6,shh, otx2等) 3.(1)青錐体一色型色覚の日本人2家系の赤緑遺伝子解析を行い、1家系については、欠失範囲を1塩基レベルで決定した。(2)緑内障の新規遺伝子同定のために、拡張候補遺伝子アプローチとポジショナルクローニングの両面から準備を進めている。同疾患の邦人36家系(患者93人)を収集し、52人(患者49人)から採血して、44例はB細胞株樹立に成功した。一方、ヒト網膜RNAを用いたY2H用PREYライブラリーを作成し、MYOC、OPTNをベイトとしたクローン同定を進めている。 4.単一遺伝子疾患の変異データベース構築を継続しており、本年度に62疾患、26遺伝子、1,659種類の変異、3,249の症例データを469篇の文献から構築した。現在の総計データは、510疾患、294遺伝子、8,711種類の変異、症例数18,618、文献数2,306篇である。
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