研究概要 |
1.ゲノム悉皆解析法を用いて、昨年度のGLC1F領域4Mb(7q35-q36)に加えて、3q22-q23上のGLC1C領域8Mbの解析も行った。その結果、機能未知cDNA/ESTを含めて何らかの転写物と高い相同性を示す遺伝子または推定遺伝子をGLC1F領域に73個、GLC1C領域に60個同定した。GLC1F領域の1遺伝子に関しては、公共データベースに登録のない転写物のクローニングと構造解析も行った。 2.(1)メダカCAB株の発生時期特異的cDNAとRACE用cDNAを調製した。(2)24〜72hpfのcDNAからヒトの猫眼症候群原因遺伝子領域に存在するCECR1, CECR5a, CECR6遺伝子のメダカ相同遺伝子の翻訳領域全長をカバーするcDNAクローニングを行った。 3.(1)緑内障の新規遺伝子同定に利用するために、現在までに同疾患の日本人68家系を収集し、患者85人から採血しDNAを抽出し、B細胞株樹立にも成功した。プレスクリーニングとして、それらの症例における既知緑内障原因遺伝子の変異の有無をスクリーニングしている。(2)緑内障の新規原因遺伝子同定を「拡張候補遺伝子アプローチ」で以下のように進めた。OPTNの全長cDNAをベイトとし、ヒト網膜RNAより構築したcDNAをプレイとして用いて酵母2ハイブリッド法でOPTNタンパクと相互作用するタンパクのcDNAの探索を行った。現在までに36個の候補遺伝子を単離し、性状解析を行った。それらの中で、構造や遺伝子座等に特徴があるものは以下のとおりであった。(1)GLC1F(7q35-q36)にマップする(2遺伝子)、(2)眼、神経等に特異的な発現を示す、(3)アポトーシス関連、(4)ゴルジ輸送関連、(5)ユビキチン関連。このうち、(1)の2遺伝子が新たな緑内障原因遺伝子である可能性を検証するために、GLC1F領域をマップした研究者と共同研究で変異探索を開始した。 4.単一遺伝子疾患の変異データベース構築を継続しており、現在までに、590疾患、324遺伝子、17,685件の変異データを2,491報の文献から構築した。
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