研究課題
本研究の目的は、シングルセル発現プロフィル解析法をプロスタグランジン(PG)受容体欠損マウスに適用し、アレルギー性疾患などの進展に関与する鍵遺伝子を明らかにすることである。(1)研究代表者らは、各EP受容体欠損マウスにアレルギー性喘息モデルを導入しその応答を調べたところ、EP3欠損マウスが喘息応答の増悪を示した。野生型マウスにEP3作動薬を投与すると、喘息応答を緩和した。肺胞上皮の発現プロフィル解析の結果、EP3作動薬によりTARCやエオタキシンなどのケモカイン発現が低下した。従って、EP3受容体は、肺胞上皮におけるケモカイン誘導を作用点として喘息応答を抑制することが判った。(2)カゼイン誘導性腹膜炎モデルを用いて、局所で産生されたPGE2は、好中球に発現するEP2受容体を介して顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)放出を促進し、炎症局所への好中球リクルートに重要な役割を担うことを明らかにした。この際、浸潤好中球の発現プロフィルを解析し、G-CSF発現誘導には、EP2受容体による持続的なcAMP産生亢進が必須であることを明らかにした。(3)上記(1)の解析でEP3欠損マウスのアレルギー応答亢進の一因として、マスト細胞応答の亢進を見出した。しかしその分子機作は明らかでない。そこで研究代表者は、組織マスト細胞の発現プロフィル解析を試み、まずマスト細胞の二つのサブタイプ(CTMCとMMC)の発現差を捉えることに成功した。現在アレルギー疾患の進行やEP3受容体欠損に伴うマスト細胞の発現プロフィル変化を解析中である。
すべて 2005
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