研究課題
第1親等におけるアルツハイマー病発症の家族歴がある症例は約10%、罹患同胞がある症例は約5%であった。100対の罹患同胞対を収集するには、家族から約半数の同意が得られるとして4000人の患者集団が必要と試算され、これまでに罹患同胞が確認された症例は28例であるが、同胞サンプルの収集は5対である。第21染色体スキャンでは、DYRK1A、 RUNX、 NCAM2、PRSS7、SAMSN1およびKCNJ6の5遺伝子、合計22SNP座位に発症リスク効果を認めた。特にDYRK1A遺伝子はダウン症候群の責任領域に位置する点で注目される。DYRK1AmRNAは患者脳で発現上昇を認め、一方でβアミロイドを細胞培養液内添加によりDYRK1AmRNAの発現上昇が誘導されることが確認された。さらに、遺伝子導入マウス実験では、PS1変異/APP変異を導入したマウス脳において、βアミロイド濃度上昇とともに、DYRK1AmRNAの発現上昇が認められた。一方、タウ蛋白過剰発現下では、DYRK1A遺伝子の発現上昇によりタウ蛋白のリン酸化が促進されることが見い出された。第12染色体では短腕領域のゲノムスキャンにより、5種の遺伝子領域にリスク効果が検出された。すなわち、VWF、 DNML1、GRIN2B、 TM7FS3およびSURB7遺伝子である。VWFは第8凝固因子をコードしているが、リスクアレルが血漿での活性が低いことが認められた。第10染色体に関しては、DNMBP遺伝子との関連が検出されたが、我々の追試ではリスク効果の再現は得られなかった。第12染色体短腕座位で見い出されたDNM1L遺伝子に着目して、その遺伝子ファミリーの関連解析をおこなった結果、DNM1およびDNM2遺伝子にリスク効果が見い出された。患者脳でのDNM2mRNA発現の低下が認められ、さらに末梢血中白血球においてもmRNA発現低下が認められた。
すべて 2007 2006
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