研究課題
北米のグループから報告された第11番染色体SORL1遺伝子は、われわれの日本人サンプルでも有意なリスク効果が再現された(未発表)。リスク多型は15%発現レベルが低くなっていると報告されているが、環境因子としてDHA摂取がSORL1の発現を上昇させることをAPPトランスジェニックマウスを用いて見出している(J Neurosci 2007)。遺伝研究始まり治療予防法の開発への発展が期待される結果である。第21番染色体スキャンで得られた候補遺伝子5つのうち、ダウン症候群の責任領域にあるDYRK1A遺伝子の発現および機能解析を論文発表した(J Hum Gnent印刷中)。またDynamin family proteinであるDNM1L、DNM1とDNM2遺伝子にリスク効果がに認められた(論文16)。発現解析ではDNM2 mRNAがアルツハイマー病脳でも末梢血中でも低下していた(未発表)。なお機能的にはDNM1がアミロイドβ蛋白の切断を変化させることを昨年発表している(Fukumori A Biochemstry 2006)。Dynaminは形質膜においてクラスリン被膜小胞の切断にかかわる。さらなる機能解析を進めており、DNM1、DNM2を同時にdominant negativeにより抑制すると分泌Aβするといっプレリミナリーデーターを得ている。このようにわれわれの結果は、DNMが遺伝学的にも機能的にもアルツハイマー病理に重要であり、治療のターゲットにもなりうるリスク遺伝子ファミリーであることを示している。患者血清を用い、共同研究によりメタボロミクス解析でアルツハイマー病バイオマーカーplasmalogenを同定している。ブラインドで行った測定でもアルツハイマー病と健常高齢者の間で有意な差が確認された(J Lipid Res 2007)。弧発性アルツハイマー病の遺伝子研究の障害のひとつは診断のあいまいさや疾患の不均一さである。plasmalogenのようなバイオマーカーがこの問題を解決しうる。
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