研究概要 |
パーキンソン病(PD)は多因子遺伝性疾患と考えられ、家族性PDではα-synucleinやparkin遺伝子が発見されたが、患者の大部分を占める孤発性PDでは疾患感受性遺伝子は証明されていない。本研究では、疾患感受性遺伝子を同定すると同時にSNPと各薬剤への反応性、副作用との関連を明らかにしオーダーメイド治療法を確立する、ことを目的とし今年度は以下の結果を得た。 pooled DNA法によるゲノムワイドマイクロサテライト関連解析で124-250人単位のpooled DNAと、27,158個のMSマーカーを用いて、1-3次スクリーニングを完了し、候補領域を280個所に絞り込んだ。113個のMSに関して、個別検体を用いた関連の検証が終了し、Pく0.0001のMSを3個発見した。数百個の候補遺伝子上SNPマーカーを用いた患者・対照関連解析では、家族性PD,ドーパミン、タンパク質分解などに関連する121個の候補遺伝子上の計268SNPsを解析し、二次スクリーニングとして、患者・対照各約900人に増やして関連解析した結果、α-synuclein(SNCA)遺伝子のintron4上に存在するSNPにp=5.Ox10^<-10>という極めて強い関連を見出した。このSNPの周辺で連鎖不平衡マッピングを行い、さらに関連解析にて、そのSNPと高いr^2値(>0.85)をとる周囲の計6個のSNPsが全てPDと強い関連(p=2.Ox10^<-9>-1.7x10^<-11>)を示すことを見い出した。これらのSNPの各遺伝子型ごとにのSNCA発現をみたところ、剖検脳にてPD associated alleleの数に応じ、SNCA遺伝子発現が増加している傾向がみられた。これらのSNPsについて、ルシフェラーゼアッセイやEMSAによる機能解析を進行中である。
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