研究概要 |
パーキンソン病(PD)は多因子遺伝性疾患と考えられ、家族性PDではα-synucleinやparkin遺伝子が発見されたが、患者の大部分を占める孤発性PDでは疾患感受性遺伝子は証明されていない。本研究では、疾患感受性遺伝子を同定すると同時にSNPと各薬剤への反応性、副作用との関連を明らかにしオーダーメイド治療法を確立する、ことを目的とし今年度は以下の結果を得た。 日本人のPD2,011検体、対照18,381検体を用いて、ゲノムワイド関連解析と2つの再現研究を行った。我々は、1q32に、新しいPD感受性遺伝子座を同定し(P=1.52×10^<-12>)、この領域を、PARK16と命名した。また、第2の、新しいPD感受性座として、4p15に位置するBST1を同定した(P=3.94×10^<-9>)。さらに、疾患との強い関連を、常染色体優性遺伝性PDの原因遺伝子である、α-synuclein(4q22, P=7.35×10^<-17>)とLRRK2(12q12, P=2.72×10^<-8>)の領域に検出した。ヨーロッパ起源の集団の関連解析の結果と比較することにより、我々は、人種間で共通したPDリスク遺伝子座として、PARK16、SNCA、LRRK2、人種差を示す遺伝子座として、BST1とMAPTを見出した。我々の結果は、PD発症に関わる、2つの新しい遺伝子座を同定した。また、常染色体優性遺伝性PDの原因遺伝子の、典型的PDへの関与を証明した。さらに、人種差が、PDの遺伝的不均一性に、寄与していることを示唆した。
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