研究課題/領域番号 |
17019047
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研究機関 | 国立国際医療センター |
研究代表者 |
春日 雅人 独立行政法人国立国際医療研究センター, 研究所, 所長 (50161047)
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研究分担者 |
門脇 孝 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30185889)
安田 和基 国立国際医療センター, 研究所, 部長 (80311611)
大澤 春彦 愛媛大学, 医学部, 教授 (90294800)
南條 輝志男 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40164511)
木戸 良明 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (10335440)
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キーワード | 糖尿病 / 遺伝因子 / KCNQ1 / 予測モデル |
研究概要 |
前年度までに新規糖尿病遺伝因子として同定したKCNQ1について、膵β細胞における機能検証を行った。β細胞株でのKcnq1ノックダウンではインスリン分泌特性に明らかな変化はなかったが、Kcnq1のへテロ及びホモ欠損マウス群において、出生時に膵β細胞量の有意な減少と、個々の膵島の構造形成不全傾向が認められた。またグノム上近接する遺伝子についても、膵島で発現を認め、Kcnq1へテロ欠損マウスの出生時膵β細胞において発現変化を認めている。 約5,000人の日本人サンプルを用い、KCNQ1を含む11のSNPによる糖尿病予測モデルを構築したところ、ROC曲線のAUC(area under the curve)は遺伝子のみで0.63、年令、性、BMIを加えても0.72であり、遺伝因子による予測力は現時点では不十分であった。また、東京女子医大岩崎・岩本らと応用ゲノム支援班との共同研究により、2型糖尿病の罹患同胞対法で連鎖を認めた染色体21番領域から、やせ型糖尿病と関連する新しい糖尿病遺伝因子KCNJ15を同定した。これは、オッズ比が2.5と高いが、アジア人特異的で、リスクアリル頻度も高くないことから、commom variantを対象とするGWASでは得られない、効果の強いrare variantの存在が強く示唆され、今後のゲノム研究の方向性に有用な情報を得た。 やはり罹患同胞対法で連鎖を認めた染色体11番短腕から、有望な遺伝子Xを得ており、この遺伝子欠損マウスが高脂肪食負荷によりインスリン分泌低下と耐糖能異常を示すことから、その病態をさらに解析している。 このほか、抗炎症分子SUM04の遺伝子について、糖尿病との関連の報告のあるMet55Val多型が、日本人2型糖尿病患者において冠動脈疾患の発症に関連すること、一般住民において、PPARg Pro/Pro型とレジスチンSNP-420G/G型は、インスリン抵抗性惹起性サイトカインであるレジスチンの血中濃度と相乘的に正に関連すること、などを示した。
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