黄色ブドウ球菌収集した臨床分離株を用いてパルスフィールド電気泳動によるクラスタリング解析を行い41のクラスターに分類した。各クラスターに属する菌株502株を抽出し、主な毒素遺伝子、薬剤耐性遺伝子mecA をPCRで検出した。さらにその中から代表株109株を抽出し、アイクロアレーを用いたCGH解析を行うとともにカイコを用いた病原性評価を行った。その結果、黄色ブドウ球菌臨床分離株は大きく、院内感染型と市中感染型に分類され、院内感染型の中に少なくとも2つの敗血症を起こす菌群が明らかとなった。獲得免疫系を持たないカイコに対する病原性は市中感染型で強く、院内感染型で弱かった。セラチア 収集した臨床分離株と環壌分離株を用いてMLSTによる系統解析を行い、臨床分離株と環境分離株では系統が異なることを明らかにし、それをべースにセラチアの病原性評価を行い、次の成果を得た。1. ヒト血清によるセラチアの殺菌には補体が重要な役割を担っていること、2. ヒト血清殺菌性に抵抗性が高い株が分布するクラスターがあり、これらの株での抵抗性のひとっは莢膜産生であることを明らかにした。緑膿菌臨床から分離した多剤耐性株と通常株でのMLSTによる系統解析をベースにした研究で次のことを見出した。1. 多剤耐性株には少タくとも2つの系統が存在すること、2. 多剤耐性株はバイオフィルム形成能が高いこと、3. 抗菌薬に対する抵抗性やバイオフィルム系性能とは逆に、ヒト血清やヒト好中球に対する感受性が高いことを明らかにした。
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