研究課題/領域番号 |
17019065
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
五條堀 孝 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 教授 (50162136)
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研究分担者 |
菅原 秀明 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 教授 (80231372)
池尾 一穂 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 准教授 (20249949)
鈴木 善幸 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 助教 (70353430)
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キーワード | 疾患情報モデル / データベース / ゲノム / 表現型 / アノテーション |
研究概要 |
本研究課題においては、注目すべき疾患として脳・神経系に関与する疾患を想定している。特に、神経変性疾患を具体的な対象として考えているが、脳・神経系が高度に複雑であるため、病態のシステム的理解を進め、疾患情報モデルの構築をおこなうプラットフォームとして、3次元の脳データベースを構築している。 これまで、コンピュータ・グラフィクスを用いたヒト脳の形態モデルを作成と、それにより脳の各部位が独立したエンティティとしてそれぞれの分割された各部位をオブジェクト化するとともに、分割した部位に発現する遺伝子セットをそのゲノム情報とともにインプリメントされたデータベースを、オブジェクト指向に基づいて構築してきた。さらに、このようなデータベースを、マウス脳においても構築して、注目する遺伝子のヒトとマウスの配列上の相同性を通して、相互交換的に検索できる情報プラットフォームの構築を目指してきた。 この背景には、脳構造が非常に複雑であるだけでなく、機能的にもきわめて高次な表現形と関連しているため、どう有用なアノテーションを施すかが、目標達成のきわめて重要な鍵であった。具体的には、3つの個別的な目標を達成するため、それぞれの研究開発要素においては、必ずしもヒトにこだわらないモデル生物を用いて研究開発し、個々の目標を達して、最終的には、ヒトとマウスの3次元データベースとそれを利用するためのグラフィック・インターフェースの構築に努めた。 まず、目標の「1)脳神経疾患の複雑性を考慮し、事象間の相関関係を特定するために知識処理をべースに情報モデルの構築を進める。」においては、ホヤを生物モデルとして独自に構築した3次元データベースを参考に、ヒトを対称に設計を進めた。次の目標である「2)疾患情報モデルを用いて、疾病に関する仮説を網羅的に整理し、関連する情報との関連付けにより新しいモデル仮説形成を目指す。」においては、神経変性疾患を具体的な対象疾患として捉え、その発病機序やその分子メカニズムの仮説を構成することを目標とした。特に、ヒト神経疾患に関するタンパク質の相互作用データを中心に用いて、そのタンパク質ネットワークを構築する方法の一般化に関して研究を進めた。これは、神経疾患情報モデルを構築するための土台となるものである。最後に、「3)応用研究として、関連データベースの複合検索、論理モデルとしての計算機実験の試験的研究を進める。」においては、形態データだけでなくユーザインターフェースにおける3次元デザインの有効性を検討し、検索の高速性の向上を試みた。
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