研究概要 |
1.5q31-q33領域のAITD感受性遺伝子の同定:罹患同胞対法で最も高いLod値を示したD5S436を中心とした約20Mbに224個の多型性を示すマイクロサテライト(MS)マーカーを設定した。これらのMSを用いて、連鎖解析に試用した同胞対でD5S436のアリルを共有する同胞対の発端者98人と対照群を対象にDNAタイピングを行い、P<0.05となる8個のマーカーを同定した。この8マーカーに対してAITD500対対照群500の相関解析により、2マーカーがP<0.05を示した。現在、独立のAITD500対対照群500を利用して、相関を示した2マーカーについて解析を進行させている。 2.ZFAT・TR-ZFATの機能解析:ZFATは1243アミノ酸からなる18個のC_2H_2タイプのZn-fingerモチーフを有し、N末側にAT-hookを持つ転写制御因子であると推定され、ZFATのスプライシングバリアントであるtruncated form(TR-ZFAT)は11個のZn-fingerモチーフを有し846アミノ酸からなる蛋白をコードする。 (i)B細胞株にZFAT,TR-ZFATを強制発現するクローンを複数個樹立し、発現アレイ解析を行った。ZFAT、TR-ZFATにより発現制御される遺伝子として興味深い免疫系遺伝子が同定された。(ii)ZFAT,TR-ZFATに共通なモノクロナール抗体を樹立した。(iii)ZFAT,TR-ZFATのトランスジェニックマウスを樹立し、コロニーを拡大させている。(iv)KOマウスに関しては、KOコンストラクトを作成し、ES細胞にトランスフェクションを行った。 3.AITD,SLE,関節リウマチに共通の感受性遺伝子の同定:AITD,SLE,関節リウマチの3つの自己免疫疾患に共通の感受性遺伝子としてFCRL3(Fc receptor-like 3)を同定した。FCRL3の転写開始点より上流に存在するSNP:-169C/Tの-169Cは-169Tに比較し、免疫応答の重要な転写因子であるNFkBがより強く結合すること、さらに、SLE患者の抗DNA抗体価はC/C遺伝子型でC/T+T/T遺伝子型より有意に高い事を明らかにした。 4.SLE-4p領域の解析:3つの同定された候補遺伝子について合計110SNPs(平均間隔約5kb)によるdense mappingを進行させている。 5.AITDの検体収集:共同研究機関およびBioBank Japanを通じて、これまでに合計で1200例のAITD検体の収集を行った。
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