研究概要 |
1. 支援活動 : (1) 家族性アルツハイマー病、前頭側頭葉型認知症、及びそれらの類似疾患が疑われる症例について原因遺伝子のシークエンス依頼があった。家族性アルツハイマー病の原因遺伝子であるAPP, PSEN1, PSEN2及びその他の認知症関連遺伝子MAPT, PGRN, TDP43のシークエンスを行った。弘前大学(1例)、関東中央病院(1例)、東京都精神研(2例)、広尾赤十字病院(1例)、国立精神・神経センター(3例)、順天堂大(4例)、東京都老人研(50例)、新潟大学(55例)、阿賀野病院(1例)、金沢大学(4例)、鳥取大学(2例)、川崎医科大(3例)福岡大学(4例)から依頼があり、若年発症家系の一部にAPP、PSEN1、MATPに変異を見つけ、その結果を依頼元に報告した。 (2)その他の脳神経疾患で家族集積性の高いALS/PDC86検体についてマイクロサテライト連鎖解析のためのタイピング支援準備を行った。 2. 個別研究 (1) ゲノムワイド相関解析で、孤発性アルツハイマー病のリスク遺伝子としてGAB2が欧米人で同定された。日本人にとってもリスクとなるか、大規模検体を用いて再現性を確認したところ、日本人の集団ではアルツハイマー病のリスクとならなかった。これは民族による違いと考えられた。 (4) アルツハイマー病の原因遺伝子(APP、PSEN1、PSEN2)以外に、MAPT変異が関与するのではないかと考えられている。日本人の10家系について、APP、PSEN1、PSEN2、MAPTの全エクソンのシークエンスを行ったところ、PSEN1変異の他にMAPTに1変異(R406W)を見つけた。このことはアルツハイマー病の発症機序や治療を考える上で非常に重要である。
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