研究課題
本研究は、遺伝子・分子レベルの網羅的な解析から、細胞・個体・生態系レベルでの生命システムの全体像を明らかにすることを目指し、新しい情報技術の開発とともに、新しいタイプの基盤データベースを構築することを目的とする。細胞・個体レベルでの生命システム情報はKEGGにおいてデータベース化が行われているので、本研究ではこれをさらに発展させると同時に、生物種間相互作用や環境との相互作用といったより高次レベルの生命システム情報をゲノムの情報と統合し、医療や産業をはじめ、ゲノム情報の有効利用へつなぐ基盤データベースを構築している。平成17年度の成果は以下の通りである。1.パスウェイ情報のKEGG PATHWAYに関しては主に代謝ネットワークの整備を行い、とくに糖鎖の合成と代謝、環境物質の分解と代謝などで新しいパスウェイマップを追加した。2.ゲノム情報に関してはKEGG GENESとNCBI RefSeqの連携が進み、オーソロググループKOの体系化として、これまでのようにパスウェイ中に存在する遺伝子に限るのではなく、既知のタンパク質ファミリー分類とCOGの分類を用いて大幅な拡張を行った。3.KOを用いて遺伝子アノテーションとパスウェイマッピングを自動的に行うKAASツールを開発し公開した。4.大量のESTデータからコンセンサスコンティグを自動生成するEGassemblerツールもパッケージ化し、KAASと連動した形で公開した。5.ケミカル情報に関してはKEGG LIGANDとNCBI PubChemの連携が進み、また米国糖鎖コンソーシアムとの連携も進んだ。また生体内の代謝化合物・糖鎖のレパートリーとゲノム中の酵素遺伝子のレパートリーを関連づけるため、生体内化学反応の知識をRC分類として体系化しつつある。6.KEGGを個別目的にカスタマイズして利用できる環境作りとして、各ユーザーがKEGGに対する検索や解析を自分のプログラムに組み込んでを利用できるようKEGG APIの開発も継続して行った。本研究の成果はhttp://www.genome.jp/で公開している。
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