研究課題
本研究は、遺伝子・分子レベルの網羅的な解析から、細胞・個体・生態系レベルでの生命システムの全体像を明らかにすることを目指し、新しい情報技術の開発とともに、新しいタイプの基盤データベースを構築することを目的とする。細胞・個体レベルでの生命システム情報は、これまでのKEGGにおいてすでにデータベース化が行われているので、本研究では生物種間相互作用や環境との相互作用といったより高次レベルの生命システム情報をゲノムの情報と統合し、医療や産業をはじめ、ゲノム情報の有効利用へつなぐ基盤データベースを構築している。平成21年度の成果は以下の通りである。(1) 急増するゲノム数に対応し、KEGG GENES遺伝子カタログデータベース構築とオーソロググループKOに基づくアノテーションを行った。(2) 本研究の大きな成果として、前年度に開発した内部用のアノテーション自動化ツールであるKOALAを、今後とも外部利用者に継続して提供できるようシステム開発を行った。(3) ケミカル情報を蓄積したKEGG LIGANDデータベース構築を継続して行い、反応に伴う化学構造変化(RDM)パターンに基づく反応予測システムPathPredを新たに開発し公開した。(4) KEGGを個別目的にカスタマイズして利用できる環境作りとして、各ユーザーがKEGGに対する検索や解析を自分のプログラムに組み込んで利用できるようKEGG APIの開発も継続して行った。(5) 支援活動として、基盤ゲノム領域及び他のゲノム領域に対して、ゲノムデータやESTデータの機能アノテーションなど、本研究の成果を生かした支援を行った。また、幅広い研究者を対象としたデータベース利用講習会およびKEGG API入門コース等を開催した。本研究の成果はhttp://www.genome.jp/kegg/で公開している。
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