研究課題/領域番号 |
17021004
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
丹治 順 玉川大学, 学術研究所, 教授 (10001885)
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研究分担者 |
銅谷 賢治 国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報研究所, 室長 (80188846)
鈴木 匡子 東北大学, 病院・講師 (20271934)
星 英司 玉川大学, 学術研究所, COE助教授 (50407681)
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キーワード | 脳生理学 / 計算論的神経科学 / 神経心理学 / 前頭前野 / 細胞発火 / 細胞同期発火 / 情報表現 / 行動制御 |
研究概要 |
丹治チームは計算論的神経科学者との協力により、行動下の霊長類大脳の活動において、細胞発火頻度の変化と細胞間同期性変動の双方を解析し、機能的意義を求めた。スクリーン表示の迷路上でカーソルを移動させ、start点から段階的にgoal点まで到達することをニホンザルに要求した。前頭前野の細胞発火頻度の解析では、行動の企画過程において、まずFinal goalの表現が出現し、数秒後にImmediate goalの表現が出現した。他方、細胞ペアにおける発火同期性の解析では、上記Rate codingにおけるFinal goalが消退し、次にimmediate goalが出現する遷移過程の時期に対応して同期性が著明に高まることを発見し、Rate codingとSynchronizationの相補的な役割を明らかにした。 他方鈴木チームは、両側側頭葉底面に硬膜下電極を留置してヒトの皮質電位記録を行ない、漢字・かな単語の語彙判断及び線画の呼称課題に伴う活動を調べ、ガンマ周波数活動が課題特異的に、側頭葉の特定部位に出現することを示した。また左中側頭回損傷により失名辞失語を有する患者において、仮名読みは音読・読解ともに保たれているのに対し、漢字読みでは音読が著明に障害されていることを見出した。さらに、左側頭回損傷による呼称障害においては、カテゴリー特異性と、固有名詞想起の顕著な障害を発見した。 また銅谷チームは、報酬に基づく行動学習に関するメカニズムを、行動の候補ごとの報酬の予測、予測に応じた行動の選択、予測と実際の報酬の誤差による学習、の3つの計算要素に応じて整理し、その脳内機構の考察を進めた。確率的報酬のもとでの行動選択課題を学習中のサルの線条体細胞活動を記録し、その行動選択に先行する発火頻度を解析した結果、線条体細胞の約1/3は、行動の候補ごとの報酬の予測に関与することを明らかにした。
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