研究リソース委員会では、統合的脳研究の効率的かつ効果的な推進と達成を目的として、現在12課題の研究リンース開発計画を進めているが、以下の5課題について著しい進展あるいは成果が得られた。 1. ゲノム研究リソースとしての高齢者ブレインバンクの構築 神経変性疾患のTDP-43 proteinopathy資源の整備のため、東京都精神研との共同研究体制を構築し、新たに高齢者ブレインバンク内にサブバンクとして、脊髄バンクを創設した。 2. インプラント用高機能集積化マルチ電極の開発 in vivo環境下でサル脳から活動電位を記録するためのSi両面プローブ(プローブの表裏両面に記録点を持ち、神経細胞活動電位の高密度記録が可能)を設計・試作し、電気特性の評価を行った。また、マイクロ流路付きSi両面プローブ(グルタミン酸などの神経伝達物質を注入しながらの神経細胞活動電位の記録が可能)の設計と試作を行い、マイクロ流路の評価を行った。 3. 脳科学におけるプロテオミクス技術の開発と普及 脳科学に特化したプロテオミクス技術として、修飾プロテオミクス開発を主要目標の一つとして推進した。具体的には、セリン・スレオニン等のリン酸化のプロテオミクス解析に成功した。 4. C57BL/6由来ES細胞を用いたコンディショナルノックアウトマウス作成支援事業 全面受託した4件と作成支援の1件についてキメラマウスの樹立に成功した。現在生殖系列遺伝を確認中のものを含めると、受託した全てのマウスを樹立し、各研究者へ譲渡する目処がついた。 5. 神経回路機能解析のための細胞種特異的Cre発現トランスジェニックラットの開発 抗Creリコンビナーゼ抗体を用いた免疫組織化学的手法により、parvalbumin、 calretinin、およびcalbindin遺伝子ニューロンにトランスジーンが発現するTg系統をスクリーニングした。
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