研究課題
視標追跡眼球運動課題を訓練したニホンサルを対象として、1)3次元性の追跡眼球運動信号は大脳皮質のどこで生成されるか、2)前頭眼野の追跡眼球運動ニューロンは、頭部を固定せずアクティブな頭部運動を伴う視標追跡運動時にどのような信号を担うかを調べた。1)3次元性視標追跡をサーチタスクとして前頭眼野、補足眼野、MST野の追跡眼球運動ニューロンについて、それらが前額面のみに応答するか、奥行きのみに応答するか、あるいは両者に応答するかを調べた結果、前頭眼野、補足眼野、MST野では、どちらか一方にのみ応答するニューロンは、それぞれ34%、73%、79%であり、残りの66%、27%、21%が両眼球運動の、主に速度成分に応答した。この結果は3次元性の追跡眼球運動信号の形成は、主に前頭眼野で行われることを示す。2)頭部を固定せず視標と報酬用ジュースの飲み口を同時に同振幅、同位相で水平方向に動かし、視線運動での視標追跡をサーチタスクとして前頭眼野の応答ニューロンを探索し、それらの発射特性ついて、視標とジュースの飲み口を個別に動かし、視線、頭部、眼球運動を乖離させて調べた結果、約1/4は視線運動と眼球運動に応答したが、頭部運動には殆ど応答しなかった。これらは他動的頭部回転による視線運動でも視線速度応答を示したので視線速度信号を担うと結論される。しかし弓状溝底部の大多数(61%)の応答ニューロンは、視線運動と眼球運動に応答しただけでなく、視線運動を伴わない頭部追跡運動にも強く応答した。視線運動中の応答は、眼球運動単独の応答とも、頭部運動中の応答とも、弱いながら優位の相関を示した。視線運動中の応答は、頭部運動中の応答と、眼球運動の応答の線形加算でよく近似できた。大多数のニューロンの発射は頭部追跡運動に先行した。以上の結果は、これらのニューロンが眼球運動指令と頭部運動指令に乖離していない頭部+眼球運動信号を担う可能性を示唆する。
すべて 2006 2005
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