研究課題
乾(1998)は、言語獲得と処理における運動系列予測学習の重要性を主張し、この機能に関わる脳内ネットワークのモデルを提案した。そこで、このモデルを検証するために、まず実験協力者に音韻系列の構文的知識を潜在的に学習させた後、音韻系列の予測と生成をさせる2種類のfMRI実験を行った。音韻系列は、状態遷移図にしたがって確率的に生成された。この課題を通して、協力者は音韻系列の構文的知識を獲得し予測的に応答できるようになった。学習において見られた脳内の活動の変化を検討した。その結果、学習時と同じ規則をもつ系列予測時には左BA45と左BA44とも活動が見られたが、生成時にはBA45は活動せず、BA44のみの活動が見られた。これは、予測反応後のフィードバックが系列予測において重要であることを示唆する。さらに、生成時のBA44の活動は学習時の規則から外れた系列が提示されたときにも見られた。これらの結果から、左BA45は系列構造を踏まえた予測および照合機能、左BA44は系列生成機能を担うことが示唆された。以上の結果は、乾(1998)の仮説を支持し、さらに詳細な学習過程を示唆する。まず本実験では、潜在学習によって状態遷移の構造が大脳基底核で学習される。一方、自己が生成した音韻をBA44からBA45にフィードバックし、そのフィードバック信号によって次の音韻が予測される。ブローカ野での予測学習には、大脳基底核からの信号が教師信号になっているのではないだろうか(潜在学習→顕在的予測)。また言語規則と語彙カテゴリの学習を同時に可能なネットワークの提案も行った。
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