研究概要 |
日本語の文法において重要な役割を果たす助詞に着目し,その処理部位の特定,ならびに複文構造の処理過程を中心に,fMRI実験を通じて脳内ネットワークの同定を試みた.さらに助詞と名詞がどのようにして統合されるのかを検討した.その結果,文法課題では助詞が提示されると左BA47および左角回の活動が,単文最後の動詞を提示するとブローカ野および運動前野の活動が見られた.これは左BA47が助詞による統語的意味処理に関わるとする我々の仮説を強く支持するものである.また,昨年度,統語知識と意味知識を単語系列から同時に学習するモデルを提案したが,このネットワークを用いてカテゴリ形成過程の特性をしらべた.シミュレーションの結果,適切な範囲でのカテゴリ化が,具体的な単語系列から抽象的なカテゴリ間規則の獲得を可能にすることが示された.また,ヒトの文法獲得にも,適切な範囲のカテゴリ化が必要であることが予測される.
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