研究課題
当該研究では、オキシトシンが脳内ホルモンとして辺縁系に作用し情動や記憶を調節する分子機構を明らかにし、出産や授乳によってそれらがどのように変化するかを検索した。オキシトシンは子宮収縮や射乳を促し出産・授乳時に機能するホルモンである。一方、辺縁系にも広くオキシトシン受容体が存在し、脳内ホルモンとしての作用が注目されている。我々は海馬に注目して解析し、オキシトシンが出産・授乳中の母親マウスの記憶・学習能力を向上させることを報告した。また、その分子メカニズムは、MAPキナーゼカスケードによるCREBのリン酸化とmRNAの転写促進であることを明らかにした。さらに、どのような蛋白質の発現が増強するのかといった、CREB以後の情報の流れについても検索した。さらに、オキシトシンにより発現が促進され、シナプス可塑性を制御している分子の同定を試みた。初代培養海馬神経細胞においてオキシトシン添加により誘導される遺伝子ならびに授乳中マウスの海馬において発現が促進される遺伝子について、DNAマイクロアレイにて解析を行った。その結果、Rgs2 (Regulator of G-protein signaling 2)とProtein Kinase C (PKC)ε遺伝子の発現が、in vitro、in vivoの両方で上昇していることを見いだした。
すべて 2005
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