研究課題
木村と上田らは、選択肢の中から価値の高い選択肢を判断して選択しながら複数ステップ先に予測されるゴールに到達する過程に線条体と中脳ドーパミン細胞が演じる役割を調べた。日本ザルを訓練して視覚刺激の指示に従って3つの押しボタンの中から試行錯誤によってひとつの正解を見つけ出し、一旦正解ボタンを見つけると再度そのボタンを選択することによって合計2回ないし3回の報酬を得る課題を行わせた。線条体の投射細胞は、各行動選択における報酬確率やゴールまでの各ステップに選択的な放電活動をするものが多く見られた。中脳ドーパミン細胞の約7割の細胞がゴールまでの各ステップに選択的な放電をし、ゴールまでの各ステップに選択的な放電活動が強化学習理論で用いる価値関数(ゴールまでに得られると期待される報酬で、将来の報酬は割り引いて推定する)とその予測誤差を良く反映することが明らかになった。中川と木村は、ドーパミン受容体系を障害したラットを作成し、その行動・認知機能異常の機序を学習による選択肢の報酬価値の獲得とそれに基づく行動選択に重点を置いた実験を進行中である。一方、ドーパミンの神経系の機能回復に対する持続的治療法の開発のためにマウスの胎生後期の中脳腹側の初代培養系を用いて黒質ドーパミン神経の遅発陛細胞死を阻止する実験も行った。また、パーキンソン病で蓄積しているalpha-synucleinに対するneurosin(kallikrein-6)の分解活性を検討し、neurosinによるalpha-synucleinの主たる切断部位はNAC domainの中央部に相当するK80/T81間であることを明らかにした。伏木らは、低用量ビスフェノールAの胎生期投与がマウス大脳皮質形成過程に影響を及ぼすことを明らかにした。細胞増殖への影響は見られなかったが、神経細胞分化ならびに移動に対して促進的に作用することが判明した。また低用量ビスフェノールAの胎生期から新生仔期にかけての投与によって黒質神経細胞の減少をきたすことが判明した。
すべて 2007 2006 その他
すべて 雑誌論文 (13件) 図書 (3件)
J. Am. Geriatr. Soc. 55・3
ページ: 374-382
Neurology 68・10
ページ: 789
Radiology 242・3
ページ: 840-845
Neurosci. Lett. doi:10. 1016/j.neulet.2007.02.093
Acta. Neuropathol. 111・1
ページ: 39-45
Dement. Geriatr. Cogn. Disord. 22・1
ページ: 8-14
Acta. Psychiatr. Scand. 114・1
ページ: 62-65
Biochem. Biophys. Res. Commun. 349・1
ページ: 162-166
Brain Dev. doi:10. 1016/j.braindev.2006.10.003
J. Neurosci. Res. 84・6
ページ: 1197-1205
Neurobiol. Aging (in press)
J. Hum. Genet. (in press)
J. Neurol. (in press)