研究課題
霊長類大脳皮質は領野に分かれており、第一次視覚野(V1)、体性感覚野(SS)などの情報の入力に関係する感覚領野、感覚領野からの情報を統合する前頭前野(PFC)などの連合野、連合野からの指令を受ける運動前野や第一次運動(M1)など出力に関する領野がある。また、大脳皮質において、皮質からの入出力を担当する興奮性錐体細胞の活動は、抑制性介在細胞であるGABA細胞によって調節されている。このGABA細胞は、ラットなどげっ歯類の研究から、パルブアルブミン(PV)、ソマトスタチン(SOM)、カルレチニン(CR)、カルビンジンのどれを含むかで分類され、その化学的特性による分類が異なると生理学的特性も異なることが知られている。今回、霊長類でもPV、SOM、CRはGABA細胞に含まれるが、おのおのは互いに共存しないことを確認し、異なるグループのGABA細胞であることが分かった。PFC、V1、SS、M1などの出力、入力、連合に関係するどの各領野でもGABA細胞の60%以上がPV陽性であり、PV/GABA比はげっ歯類(約50%)より高かった。SOM陽性細胞は、V1では、GABA細胞のうち5.3%を占めているに過ぎないが、PFC、SS、M1ではGABA細胞の約10%がSOM陽性であり、領野特異性が観察された。電子顕微鏡レベルで調べると、SOMやCRを含有する終末はすべてGABA陽性非対称性終末(=抑制性終末)であることが確認されたが、げっ歯類とは異なり、PV含有終末にはGABAを含有する非対称性終末以外にもGABAを含まない対称性終末(=興奮性終末)が存在した。霊長類視床にはPV陽性細胞があることから、大脳皮質で観察されたPV陽性興奮性終末は視床からの投射線維終末でないかと考えられる。(2006年7月に開催される日本神経科学学会大会で発表する予定である)
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