研究課題
目標指向行動において報酬到達までの労働負荷、報酬価値、報酬確率の情報処理が脳内でどのようになされているかを調べるために動物に学習させる課題である「多試行報酬スケジュール課題」を5頭のサルにトレーニングした。この内1頭は、報酬価値および労働負荷を変化させる条件を設定し、課題遂行時のサルの行動学的パラメターをまず記録・解析した。報酬価値はサルに与える水分の量により3段階にコントロールし、労働負荷は報酬到達までの試行数を最大4回まで設定することで、スケジュール状態で合計10、水分量のパラメーターを合わせると合計30の状態をチェックし、サルが報酬の水分の量が多いほど、また、報酬に近づくほ課題のエラー率が下がること、また、実験に用いたサルでは、報酬獲得の履歴の影響がほとんど無いことがわかった。次に、頭部MRIによりニューロン活動記録部位(前部帯状皮質の前方部)の座標を決定し、ニューロン活動記録用チェンバーを取り付けた。報酬価値と報酬獲得までの労働負荷を色々変化させた時の単一ニューロン活動の記録・解析を行いつつある。別のサルには、背側縫線核からのセロトニンニューロンの活動の記録を試みた。頭部MRIからニューロン活動記録部位の座標を決定し、ニューロン活動記録用チェンバーを取り付けた。背側縫線核付近より、セロトニンニューロンの可能性の高い、幅の広いスパイクを記録することに成功した。予備的解析では、これらのニューロンが課題のさまざまなフェーズで反応し、これまで報告されているような単調な反応では必ずしも無いことがわかりつつある。
すべて 2007
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Annals of the New York Academy of Sciences 1121
ページ: 376-394