目標指向行動において報酬到達までの労働負荷、報酬価値、報酬確率の情報処理が脳内でどのようになされているかを調べるために「多試行報酬スケジュール課題」をトレーニングしたサルの前部帯状皮質吻側部および背側縫線核よりニューロン活動を記録した。前部帯状皮質吻側部よりニューロン活動を記録しているサルでは、報酬価値および労働負荷を変化させる条件を設定し、報酬価値はサルに与える水分の量により3段階にコントロールし、労働負荷は報酬到達までの試行数を最大4回まで設定することで、スケジュール状態で合計10、水分量のパラメーターを合わせると合計30の状態でチェックした。その結果、スケジュール状態に関わらず特定のタスクイベントで反応するニューロン、報酬試行に向かってスケジュールが進行するに従って徐々に反応が大きくなるニューロンと、徐々に反応が小さくなるニューロンが見られた。別のサルには、報酬スケジュール課題遂行時の背側縫線核からのニューロンの活動の記録を試みた。現在では、スパイクの幅だけではセロトニンニューロンである確証はないという報告があるため、記録したニューロン群はセロトニンニューロンとノンセロトニンニューロン両方を含むと考えられる。予備的解析では、これらのニューロンが課題のさまざまなフェーズで反応し、報酬試行で反応するものと無報酬試行で反応するものがあるなど、これまで報告されているような単調な反応では無いことがわかってきた。
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