研究課題/領域番号 |
17023012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 憲作 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60008563)
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研究分担者 |
長尾 伯 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50281647)
柏谷 英樹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70328376)
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キーワード | 嗅皮質 / 匂い地図 / 混合促通 / シナプス伝達 |
研究概要 |
匂い情報は嗅上皮の嗅細胞により受容され、嗅球の「におい分子の構造的特徴地図(匂い地図)」内の活動パターンとしてコードされている。 本研究の主目的の1つは、嗅皮質が嗅球の匂い地図からの情報をどのように統合し、対象物(たとえばバナナ)の匂い認識に結びつけているのかを解明することである。この目的の為、微小電極を用いてウレタン麻酔下ラットの嗅皮質の前梨状葉の背側部から単1ニューロン記録をおこない、野菜やくだものに含まれる主要匂い分子を用いて嗅上皮を刺激し、個々のニューロンがどのように匂い分子情報を統合しているのかを調べた。この結果、個々の嗅皮質ニューロンは、特定のにおい分子群の組みあわせに選択的に応答し、この組みあわせ様式はニューロンごとに様々に異なっていることを見いだした。また、複数種の匂い分子の組みあわせ刺激による皮質ニューロンの応答が、個々の成分匂い分子に対する応答よりも増大する「混合促通」現象や、個々の成分に対する応答よりも減少する「混合抑制」現象を見いだした。これらの実験結果は、多種多様な匂い分子情報の選択的組みあわせをおこなうことが、嗅皮質神経回路の主要機能の1つであることを示している。 また、嗅皮質の感覚ゲーティングと並行して嗅球の樹状突起間シナプス伝達が、覚醒・睡眠状態に依存して大きく変動することを見いだした。
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