研究課題/領域番号 |
17023018
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
畑 裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80313237)
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研究分担者 |
平林 享 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80376730)
飯田 純子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80376805)
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キーワード | 細胞接着 / シナプス / 細胞骨格 / シグナル伝達 |
研究概要 |
神経シナプス接着分子ニューロリギンは後シナプスに局在して、前シナプスの接着分子ニューレキシンとヘテロフィリックな接着を行うことによりシナプス形成を誘導することが、細胞生物学的実験から支持されている。ヒトには4つのニューロリギン遺伝子(NL1-4)があるが、NL1とNL3は興奮性シナプスにNL2は抑制性シナプスに局在している。最近、NL3とNL4の異常が自閉症の原因となることが報告され注目されている。私たちは、ニューロリギンの裏打ち蛋白としてS-SCAMを見出し解析している。S-SCAMはヒトでは7番染色体に遺伝子があるが、異なる開始コドンからスタートする3つのアイソフォームα・β・γがある。S-SCAMαは6つ、β・γは5つのPDZ領域をもち、ニューロリギン以外にもNMDA型グルタミン酸受容体をはじめ様々のシナプス分子と相互作用している。平成17年度には、S-SCAMαのノックアウトマウスについて解析し、S-SCAMαがNMDA型グルタミン酸受容体刺激によって惹起される低分子量G蛋白Rhoの活性制御の足場として機能することを明らかにしている。また、神経細胞樹状突起スパインに存在する分子が、S-SCAMに結合することを新たに明らかにし、この分子の局在がS-SCAMとの相互作用に依存して変化することを示唆する予備的知見を得ている。さらに、従来、興奮性シナプスを対象としてS-SCAMの解析を行ってきたが、S-SCAMは抑制性シナプスにも存在し、そこでもニューロリギンおよび他の膜蛋白を裏打ちしていることを見出している。現在、S-SCAMが抑制性シナプスにおいても、興奮性シナプスにおけるのと同様に膜蛋白の集積に主導的な役割を果たすかを解析している。
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