研究課題
成長円錐のプロテオミクスに関する研究:神経回路形成に決定的に重要な役割を果たす成長円錐の分子基盤を確立するためには、まずマーカー分子を確立することが必要である。今年度はラット大脳皮質ニューロンの成長円錐のマーカーを確立するととを目標とした。プロテオミクスで同定した分子900種類のうち、約200種類の免疫染色(すべて成長円錐で陽性)で従来から知られているマーカー分子GAP-43よりも成長円錐に濃縮された分子が数十種類あることがわかった。これらの内、siRNAによって約50種類の分子の発現抑制実験で十数種類の分子が、神経成長に関与する分子であることが証明された。上記の分子群は、性状は多岐にわたっているが成長円錐への機能的関連が明確に証明されていたものはなかった。成長円錐の分子基盤の確立は従来、きわめて困難で実行不可能と思われていたが、今回の結果はプロテオミクスがこの問題を解決する手段であることを証明した。シナプス伝達に関するsubmicromolar Ca^<2+>の意義の研究:CaMKIIおよびmyosin-Vとsyntaxin-1AのCa^<2+>依存性結合がシテプス伝達を調節する機構に,ついて、calmodulinを介するsubmicromolar Ca^<2+>の利用でシナプス小胞のリサイクリングに関与することを細胞レベルで証明したが、CaMKII結合ができないsyntaxin-1A変異ノックインマウスを作成した。Myosin-Vとsyntaxihの相互作用に関する意義の研究については、神経系でマイナー成分であるsyntaxin-3,4についてmyosin-Vとの相互作用が、syntaxin-1A同様に成り立つことを証明した。またmyosin-VのATPase活性がシナプス後部の蛋白質drebrin-Aで阻害されることを見出し、アクチン結合への役割が、シナプス後部の構成に関与することを示した。
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