研究課題
1)神経幹細胞の中心体維持に関わる因子および神経分化調節における細胞周期調節因子の機能解析Pax6変異ラット終脳におけるエレベーター運動の異常および中心体の挙動異常の原因に関して、発現量低下が見られた3つの因子(細胞極性制御分子Fez1、接着装置構成因子delta-cateninおよび中心体蛋白質Ninein)のうち、Nineinに対するsiRNAを野生型ラット大脳原基に導入し免疫染色やタイムラプス観察を行ったところ、細胞周期およびエレベーター運動が乱れ、Pax6変異ラットで見られたものと類似した表現型が誘導された。また、細胞周期調節因子CyclinD2 mRNAの神経上皮細胞基底膜側局在化cis配列を核移行型EGFPに結合させたコンストラクトを作製し、マウス胚大脳原基へ導入したところ後、基底膜側末端で翻訳が生じたことから、この配列がCyclinD2 mRNAの神経上皮細胞基底膜側局在化を制御することが明らかになった。2)神経幹細胞の増殖と分化を統合する分子機構の網羅的解析マイクロアレイ解析により同定した、Pax6下流遺伝子Dmrt4の機能解析に関して、既に作製済みのDmrt4ノックアウトマウスの大脳皮質原基における背腹パターニング遺伝子および神経分化促進因子の発現を解析したが、重篤な異常は認められず、他のDmrt因子による補償機構が伺われた。さらに、転写因子Dmrt4の標的候補遺伝子Neurogenin2の制御機構について、Dmrt4をPax6変異胚大脳皮質原基や野生型ラット胚終脳腹側領域へ異所的に導入するとNeurogenin2の発現が誘導されることがわかった。以上のことから、神経幹細胞の増殖と分化における新しいPax6遺伝子カスケードの実体が明らかになった。
すべて 2010
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Journal of Visualized Experiments
巻: 42