研究課題
温度走性に異常を示すttx-8変異体の原因遺伝子は、N末端に膜何通ドメインを持ち、C末端にCoiled Coilドメインを持つ、酵母からヒトまで保存されている新規タンパク質をコードしていた。そこで、ttx-8変異体に、ヒトのTTX-8ホモログをコードする遺伝子を導入したところ、ttx-8変異体の温度走性異常が、部分的に回復した。従って、TTX-8は、機能的にも種を超えて保存されていることが示された。最近当研究室で開発した自動追尾システムによって、ttx-8変異体の運動を解析した結果、蛇行運動は野生型と比較して変化はないが、後退頻度が著しく高くなっていることが明らかになった。また、カルシウムイメージングによって、ttx-8変異体のAFD温度受容ニューロン、および、そのpostsynapticなAIY介在ニューロンを解析した結果、温度変化に対しての応答が顕著に低下していた。以上の結果より、ttx-8変異体が示す温度走性異常は、単なる運動異常に起因しているのではなく、温度走性神経回路を構成するニューロンや,それ以外の行動に関与するニューロンの機能が低下している可能性が示唆された。さらに、HeLa細胞においてTTX-8を発現させると、ERやGolgi体と共局在することも明らかになった。温度と餌条件の学習異常を示すaho-3変異体における原因遺伝子は、ヒトから細菌まで高度に保存されている加水分解酵素をコードしていた。しかし、現在のところ、その機能については、まったく不明である。AHO-3の温度学習に関する複数の機能細胞の中にAWC神経細胞が含まれていたため、AWCの匂い受容や温度受容の機能に重要な因子であるODR-3Gタンパクの変異体の温度学習を解析したところ、aho-3変異体と同様の温度学習異常を示し、また、PKGの変異体も、温度学習異常を示すことが明らかになった。
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