研究課題/領域番号 |
17024024
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
貝淵 弘三 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00169377)
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研究分担者 |
森 大輔 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, COE特任講師 (00381997)
西岡 朋生 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70435105)
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キーワード | 神経細胞 / 極性形成 / 軸索 / 細胞内輸送 / CRMP-2 / Par / カルシウム |
研究概要 |
報告者は神経細胞の極性形成機構を分子レベルで解明するために、以下の3つの課題に取り組んだ。 CRMP-2のリン酸化による小砲輸送制御機構の解明 CRMP-2は、多様なキナーゼによるリン酸化サイトを持つことが示唆されているリン酸化蛋白質である。報告者らは、CRMP-2をリン酸化するキナーゼを網羅的に探索し、新規リン酸化酵素としてULK1を同定した。ULK1によるCRMP-2のリン酸化部位を同定し、リン酸化されたCRMP-2は、既知の結合分子との解離が認められた。 神経極性制御分子Par3の作用機構の解明 報告者らは、Par3に特異的に結合する分子をアフィニティーカラムクロマトグラフィー法により多数同定した。その内で、シグナル伝達分子ERK2に注目した。ERK2によるPar3のリン酸化部位を同定し、リン酸化されたPar3は神経突起の細胞体に存在することを明らかにした。リン酸化されたPar3はモータ分子KIF3(キネシン-2)との結合が減弱することから、ERK2によるPar3のリン酸化は、キネシン-2による輸送を制御している可能性が示唆された。 細胞外シグナルによるの極性形成機構の解明 神経栄養因子は、神経細胞の分化やシナプス形成に関与することが知られている。未成熟な海馬神経細胞を、細胞外に存在する神経栄養因子の受容体の特異的阻害剤で処理することで、極性形成の遅延が観察された。そこで人為的に極性を誘導する方法として、未成熟な複数の突起のうち、1つの突起にのみ局所的に刺激を与える系を確立した。神経栄養因子NT-3の局所刺激は、突起伸長を促し軸索を誘導した。さらにNT-3からのシグナル伝達経路について解析し、PLC-IP_3-IP_3受容体を介する経路が、極性獲得前の突起伸長に関与していることを見出した。NT-3刺激は成長円錐でのカルシウム上昇を誘導した。さらに、カルシウムの下流分子がCaMKK-CaMKIを介する経路であることも明らかにした。
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