研究課題
樹状突起が描く幾何学的なパターン、ニューロンのクラス毎に著しく異なり、この多様性は各クラスに特有の生理機能を反映していると考えられている。我々は樹状突起の分岐の複雑度、伸長、そして安定性がどのように調節されるのかに注目している。ショウジョウバエの感覚細胞のサブグループである dendritic arborization (da) neuronは、樹状突起のパターン形成を研究する上で優れた特徴を有している。腹部体節内に誕生する全ての da neuronが同定されており、樹状突起の分岐がより複雑な順番に、そして受容野のサイズがより大きな順番に、クラスIからクラスIVまでの4つのクラスに分類されている。da neuronでGFPを発現するトランスジェニック系統を用いると、生体内での樹状突起形成を単一細胞の高解像度で、経時的に観察することができる。我々はまず、特定のクラスの da neuronで選択的に発現する遺伝子を分離し、その中から、各クラスに特徴的な突起パターンの形成に関わる遺伝子を見つけた。このアプローチと並行して、突起の分岐や伸長異常を指標とする突然変異体のスクリーニングを行い、原因遺伝子を同定して各々の機能を調べた。突然変異体のスクリーニングから、ダイニン軽中鎖をコードする遺伝子の突然変異を分離した。その表現型の解析から、ダイニンモーターが樹状突起を分岐させる活性を持つ分子複合体、あるいはオルガネラを輸送する仮説を立てた。積荷の候補を探索し、Rab5を含む初期エンドソームが分岐形成に必要な積荷であることを示した。我々の結果は、ダイニン複合体が初期エンドソームの積み降ろしを調節することで、細胞体から突起周辺部に向かう軸に沿った分岐パターンの多様性が生み出される可能性を示唆している。また樹状突起の形成とその維持に、ミトコンドリアの融合と分裂のダイナミクスが重要な役割を果たすことを示唆する結果も得た。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (24件)
蛋白質核酸酵素 臨時増刊号「神経の分化、回路形成、機能発現」 53
ページ: 393-399
PLoS Computational Biology 3
ページ: 212
Nature Neuroscience 10
ページ: 963-969
Genes to Cells 12
ページ: 1011-1022
Neural Development 2
ページ: 7
Neuron 54
ページ: 417-427