研究課題/領域番号 |
17024055
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
山森 哲雄 基礎生物学研究所, 脳生物学研究部門, 教授 (80260206)
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研究分担者 |
渡我部 昭哉 基礎生物学研究所, 脳生物学研究部門, 助教 (40290910)
小峰 由里子 基礎生物学研究所, 脳生物学研究部門, 助教 (90280586)
定金 理 基礎生物学研究所, 脳生物学研究部門, 助教 (90446261)
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キーワード | 大脳皮質領野 / 視覚野 / 連合野 / 活動依存性 / 遺伝子 |
研究概要 |
我々は、霊長類の大脳皮質領野に特異的に発現する遺伝子の解析を通じて、霊長類大脳皮質の特質を明らかにしたいと考え研究を行っており、これ迄の研究成果として、Differential Display法により、大脳皮質視覚野に特異的に発現する遺伝子occlや連合野特異的に発現する遺伝子Rbpの報告を行ってきた。 我々は、更に、RLCS(restrcition landmark cDNA scanning)法を用いた大規模な網羅的スクリーニングの中から、occlと同様の視覚野特異的発現遺伝子RLCS15を見出していたが、RLCS15はセロトニン受容体(5-HT1B)であり、他の知られている全てのセロトニン受容体の中で、5-HT2Aのみが大脳皮質に於ける視覚野特異的発現を示すことが判った。そこで、大阪大学の佐藤宏道教授との共向研究で、麻酔下サルでのmicroiontophoretic投与法によるセロトニン受容体のサブタイプ特異的薬剤投与により、101個の一次視覚野神経細胞応答のsingle-unit記録を行った。これらの薬剤のアゴニストによるセロトニン受容体の活性化の様式は各々の神経細胞の発火レベルに応じて2方向性であった。5-HT1B受容体のアゴニストは、発火頻度が高い時は、促進的に、低い時は抑制的に働く。一方、5-HT2A受容体のアゴニストは、逆の方向に働く。我々は、又、これら受容体の活性化は、視覚刺激に対するタイミングに影響を与えることを見出した。以上のことから、これらセロトニン受容体は相補的に作用して、視覚入力に対する一次視覚野神経細胞の応答性を調節していると考えられる。
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