研究課題/領域番号 |
17025008
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井原 康夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60114386)
|
研究分担者 |
森島 真帆 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50204722)
舟本 聡 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10345043)
|
キーワード | アミロイドβタンパク質 / γセクレターゼ / APP / アルツハイマー病 |
研究概要 |
本年度は、以下のような研究結果を得ることが出来た。 1.Cell lysate内のlong Aβを同定した。Long Aβを1アミノ酸残基の違いで分離可能なSDS/urea gel systemを開発し、AβのN末端特異的な抗体を用いてWestern blot法を行うことにより、long Aβを検出・同定するシステムを確立した。そして、これを用いて、細胞内に、γセクレターゼ依存的に産生される複数種のlong Aβが存在することを明らかにした。また、切断部位の位置とγセクレターゼ阻害剤に対する感受性から、γセクレターゼがAPP膜貫通領域のαヘリックスのある面にそって3残基ずつ切断してゆくのではないかという仮説を立てた。これを直接証明するために、cell-free系にてtripeptideが遊離されるかどうか、LC-Ms/Msを用いて検討を始めた。 2.APPの膜貫通領域にTrpが複数個連なった変異を挿入置換することにより、εcleavageとγcleavageのどちらか一方を著しく抑制できることが分かった。この時生じたlong Aβとlong AICDを解析・同定した結果、γcleavageが起こるためには、2つの切断部位の中間の位置の切断が需要であることが分かった。 3.CHAPSOにより可溶化したγセクレターゼと、Sf9から精製したβCTFを用いて、γセクレターゼのsolubilized systemを確立し、産生されるAβとAICDのstoichiometryを検討した。その結果、AβとAICDの産生は1対1の関係にあることが判明した。この関係は、様々な変異APPや変異プレセニリンを発現させても常に一定であった。このことは、εcleavageとγcleavageが密接に連携して起こっていることを示唆するものであり、ほぼ連続的に起こっていると考えられる。
|