研究概要 |
われわれは、γセクレターゼによるAPP(BCTF)の切断は、ε切断が起こったあとに、TMDのαヘリックス構造(1ターンは3.6残基)にそって3残基ごとに連続的に起こり、その結果Aβが生じると考えている。昨年度までに、CHAPSO-reconstituted assay systemでは、5種類のトリペプチド、IAT、VIV、ITL、TVI、VITがγセクレターゼによって特異的に遊離してくることをLC-MS/MSにて確認した。さらに、Aβ42産生経路においてはAβ42からtetrapeptide, VVIAが除かれてAβ38に行く経路があることを見いだした。さらにLC-MS/MSによってminorpathway, つまり、Aβ41生成経路もこのassay系においてはAβ40/42産生のmajor pathwaysの1/50~1/100ほど見られることが判明した。面白いことにAβ41はVVIをreleaseしてかなりの部分力弐Aβ38になることが判明した。すなわちAβ38は、生理的意義は不明だが、いくつかの経路から生じてくるようだ。またLC-MS/MSによるtripeptideの定量により、初期反応(おそらくpresteady state phase)の検討を行うことが可能となった。その結果、反応開始後tripeptide遊離まで3-4分のinduction periodがあることを見いだした。この意義に関して不明であったが、stepwise-processing modelに基づいたkineticsによってsimulationした結果、理論的にinduction periodの存在が説明できた。以上からγセクレターゼによるCTFからのAB産生はε部位からstepwiseにγ部位に進むと結論された。
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