α-synucleinは、パーキンソン病の変性ニューロンに特異的に蓄積する病因蛋白質である。ドパミンニューロンに家族性PD変異型α-synucleinを過剰発現したトランスジェニック線虫を作出し、ニューロンの機能異常とドパミン喪失が生じること、またGRKなどのシヌクレインキナーゼ過剰発現によりリン酸化亢進によりニューロン機能異常が生じることを示した。またα-synucleinの分解系として注目されているマクロオートファジーとα-synuclein蓄積の関係を知るため、オートファジー欠損atg5ノックアウトマウスとドパミンニューロン特異的A53T変異α-synucleinトランスジェニックマウスを交配し、α-synucleinの分布や神経細胞変性について解析したが、定常状態において明らかなα-synuclein蓄積の変化は見出されなかった。家族性パーキンソン病病因遺伝子であるPARK7の病因遺伝子産物DJ-1が酸化ストレス抵抗性を与えること、特定のシステイン残基において酸化以外にニトロシル化を受けること、これらのシステインが二量体化に重要な役割を果たすことを明らかにした。さらにPARK8の病因遺伝子産物LRRK2全長遺伝子をクローニングし、培養細胞における全長蛋白としての発現を達成、ゲル濾過法などによりLRRK2が分子量600kDa前後の高分子量域に分布すること、細胞質に可溶性蛋白質として均一な発現を示すことを実証した。またin vitroでプロテインキナーゼ活性をもつこと、G2019変異により自己リン酸化が亢進することを明らかにした。またイントロン変異によりras様ドメインの欠損が生じること、この欠損によりキナーゼ活性が消失することを明らかにした。
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