研究概要 |
家族性パーキンソン病(FPD)の一型であるPARK8の病因遺伝子産物LRRK2の自己リン酸化部位を同定し、キナーゼ活性の制御との関係について検討した。全長LRRK2をHEK293細胞に発現させ、[32P]リン酸で代謝ラベリングすると、リン酸の取り込みが見られた。このリン酸化はキナーゼ活性喪失型のK1906M変異体でも同等に見られることから、自己リン酸化に加え、他のキナーゼによるリン酸化を含むと考えられ、このリン酸化を質量分析法で解析すると、LRRドメイン付近で生じていることが示された。これらの他kinaseによるリン酸化部位を欠損した△N-LRRK2を発現させ代謝ラベリングすると、野生型△N-LRRK2はリン酸化を受けたが、全長LRRK2の場合と異なり、キナーゼ活性喪失型のK1906M変異体はリン酸化を受けなかった。またG2019S FPD変異型△N-LRRK2はより強くリン酸化された。これらの結果から、△N-LRRK2は細胞内において自己リン酸化のみを受けると考えられた。Sf9/バキュロウイルス発現系を用いて△N-LRRK2をSf9細胞に発現させ、キナーゼ活性を保持した状態で△N-LRRK2を精製した。In vitroリン酸化反応後、トリプシン消化物からFe3+ビーズを用いてリン酸化ペプチドを精製・濃縮した後にMALDI-TOF/MS解析に供し、Rocドメイン内のSer1403, Thr1404, Thr1410, Thr1491およびキナーゼドメイン内のThr1967, Thr1969を自己リン酸化部位として同定した。αシヌクレイン過剰発現線虫に系統的RNAiスクリーニングを施行し、エンドサイトーシス関連遺伝子apa-2の抑制がαシヌクレイン神経毒性の増強因子であることを確定した。
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