研究課題
これまでに、異常タンパク質の主要な分解経路であるユビキチンプロテアソームシステムが、神経変性疾患における神経細胞内の異常タンパク質の凝集に深く関与していることが示唆されてきた。しかし、神経変性疾患が晩発性に発症する理由は未だ明らかではない。そこで生体内でのプロテアソーム活性の、神経変性の晩発性発症への関与に着目した研究を行った。プロテアソームは、触媒ユニットである20Sプロテアソームと調節ユニットである19Sプロテアソームが会合した分子集合体であり26Sプロテアソームと呼ばれる。グリセロール密度勾配遠心法を用いて、19S、20Sプロテアソームから26Sプロテアソームへの会合が抑制されることによって、生体内のプロテアソーム活性が加齢に伴い低下することを明らかにした。機能獲得型遺伝学的スクリーニングにより、19Sプロテアソームの蓋部構成因子の一つの強制発現系統が、ポリグルタミンによる神経変性の進行を有意に抑制することが明らかとなった。一種類のプロテアソーム構成因子を発現させただけで、伸長ポリグルタミンによる神経変性や加齢に伴うプロテアソーム活性の低下を抑制した理由を調べるために、グリセロール密度勾配遠心法を用いて、19S、20Sそれぞれのプロテアソームの量的変化及び活性を、若年・老年・プロテアソーム構成因子発現老年の個体でそれぞれ比較した。この強制発現系統の詳細な解析を行ったところ、老齢個体においても生体内のプロテアソーム活性が比較的維持されており、ポリグルタミンによる異常タンパク質の凝集を抑制するだけでなく、通常の老化に伴うユビキチン化タンパク質の蓄積も抑制されることが明らかとなった。
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