研究課題
これまで我々は、分子シャペロンの機能調節によるポリグルタミン病の病態抑止を検討してきた。今年度は、分子シャペロンとユビキチン・プロテアソーム系をつなぐ役割を果たすと考えられているC terminus of Hsc70-interacting protein(CHIP)の球脊髄性筋萎縮症(SBMA)モデルマウスにおける神経変性の抑止効果を解析した。培養細胞においてCHIPはポリグルタミン鎖の延長したアンドロゲン受容体(AR)のユビキチン化および分解を促進した。チキンβアクチンプロモーター下でCHIPおよびmycタグを発現するトランスジェニックマウスを作成し、野生型のARを発現するマウス(AR-24Q)またはSBMAモデルマウス(AR-97Q)と交配したところ、CHIPを高発現したAR-97Qマウス脊髄および骨格筋では変異ARの凝集体およびモノマーの減少が認められたが、こうした効果はAR-24Qマウスでは認められなかった。また、CHIP高発現による分子シャペロンの発現量の変化についても脊髄および骨格筋において解析したが、Hsp70、Hsp90、Hsp40の発現量に変化は認められなかった。CHIPを高発現したAR-97Qマウスではロータロッド、ケージアクティビティー、歩幅、体重、生存期間の有意な改善が認められ、とくにその効果はCHIPをホモで高発現するマウスにおいて強く認められた。病理学的には、脊髄前角および骨格筋のいずれにおいても抗ポリグルタミン抗体で核がびまん性に染色される細胞数が減少し、骨格筋のHE染色では神経原性筋萎縮の所見にも改善が認められた。脊髄前角のGFAP染色では反応性グリオーシスの減弱が示唆された。以上より、CHIPは変異アンドロゲン受容体のプロテアソームによる分解を促進し、神経変性を抑止する作用を有していることが明らかとなった。(786字)
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