研究課題/領域番号 |
17025020
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
祖父江 元 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20148315)
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研究分担者 |
国中 章景 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30378012)
服部 直樹 名古屋大学, 医学部・附属病院, 准教授 (10402570)
勝野 雅央 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (50402566)
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キーワード | ポリグルタミン / 球脊髄性筋萎縮症 / 運動ニューロン / ユビキチン / プロテアソーム / 17-DMAG |
研究概要 |
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は成人男性に発症する下位運動ニューロン疾患で、その原因はアンドロゲン受容体(AR)第1エクソン内のCAGリピートの異常延長である。昨年度までに我々は、ユビキチン-プロテアソーム系の機能調節によるSBMAの病態抑止治療を検討してきた。これまでの検討により、Hsp90阻害剤である17-allplamino-17-demethoxygeldanamycin(17-AAG)がポリグルタミンの延長した変異AR蛋白質のプロテアソームにおけるdegradatiohを選択的に誘導し、SBMAモデルマウスの運動機能および寿命を改善することが明らかとなっている。本年度はSBMAマウスにおけるユビキチン-プロテアソーム系の機能を定量的に解析するとともに、経口Hsp90阻害剤である17-(dimethylaminoethylamino)-17-demethoxygeldanamycin(17-DMAG)をマウスに投与し、神経変性に対する治療効果を検討した。SBMAモデルマウスの脊髄のプロテアソーム活性は進行期においても保たれており、骨格筋では野生型マウスに比べプロテアソーム活性が亢進していた。生体におけるユビキチン-プロテアソーム系のレポーターである変異ユビキチン(Ub^<G67V>)の高発現マウスとSBMAマウスを交配した解析においても、ユビキチン-プロテアソーム系の機能が維持されていることが示された。17-DMAGをSBMAモデルマウスに経口投与したところ、変異AR蛋白質の凝集体およびモノマーの量が減少し、Hsp70などの熱ショック蛋白質の発現が誘導された。また、17-DMAGによるマウスの運動機能および寿命の改善が認められた。以上より、SBMAでは病変部である神経系においてプロテアソーム活性が保たれており、その賦活化により神経変性の病態が抑制される可能性が示唆された。(799字)
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